相続は争族と表現されることもあるぐらい、親族間の争いが起こりやすいです。特にもめることもなく円満に解決することが理想ですが、たとえ仲の良い親子・兄弟姉妹でも、ちょっとした気持ちの行き違い等により感情的対立が生じることもあるのです。
また、遺産相続の場面になって初めて、音信不通の他の相続人がいることを知るといったケースも実際にあります。今のうちから適切な内容の遺言書を作成するといった対策をしておくことで、相続争いや親族間のトラブルの防止につながります。また、遺産の調査を行ったところ多額の負債があることが判明した場合など、相続を放棄したい方の手続きもあります。
当事務所では、相続に関するトラブルや紛争、問題が発生した場合や、相続の煩雑な手続きまで様々なお悩みに寄り添いながら丁寧に対応いたします。
遺留分侵害額請求
遺留分侵害請求とは、被相続人が有していた相続財産について、その一定割合の承継を一定の法定相続人に保障する制度です。簡単に言うと、遺留分侵害請求は、遺言や生前贈与によって侵害された遺留分について、これを侵害している相続人などに対してその請求することを言います。一定の相続人には、承継されるべき最低限の割合があり、例えば、被相続人が遺言や生前贈与で、全財産を特定の子供だけに譲ってしまったような場合に、遺留分侵害請求を行うことが考えられます。
不当利得返還請求
法律上の正当な理由なく利益を得て他人に損失をおよぼした人に対して、不正に取得した利益を返還してもらうように請求することです。
相続では、「相続するはずの銀行預金を無断で使い込む」「遺産である現金を持って行って返さない」などの場合に不当利得返還請求ができます。不当利得返還請求の要件としては、次の4つを満たすことが必要です。
- 財産の使い込みによって利益が生じていること(受益)
- 財産の使い込みによって損失が発生していること(損失)
- 受益と損失に因果関係があること
- 財産の使い込みについて法律上の原因がないこと
不当利得返還請求権には時効があり、時効が成立する前に請求対応を進めなければならず、早めに対応することが求められます。
遺言無効確認請求
遺言者が認知症である、自筆遺言が本人の自筆ではない等、遺言の無効を求める場合、裁判所に遺言無効確認の訴えを起こすことができます。
遺言無効確認事件は、いきなり訴訟提起をすることはできません。家事に関する事件であり家事調停の対象となります。そして、家事事件手続法は、こうした家事調停の対象となり得る事件について訴えを提起する場合には、先行して家庭裁判所に家事調停を申し立てなければならないと定めています(これを「調停前置主義」といいます。)。
もっとも、家事調停を経ずに訴えを提起した場合であっても、関係者での見解の対立が激しく調停で解決する余地がないようなときには、そのまま訴訟手続きの審理を行ってくれる場合もあります(調停による解決の見込みがある場合には職権で家事調停に付されます。)。
家庭裁判所に調停を申し立てたが、遺言の有効・無効についての争いが解決できなかった場合、遺言の無効を主張する相続人が原告となり、遺言の有効を主張する相続人を被告として、地方裁判所に遺言無効確認請求訴訟を提起し、判決で有効か無効かを確定することになります。
なお、遺言執行者の指定されているケースでは、遺言執行者を被告とします。