離婚後の共同親権について

はじめに

 親権とは、子の適切な養育のための権利・義務です。父母の婚姻中は共同して親権を行使するのが原則ですが、これまでの民法では、離婚した場合、父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでした。
 しかし、2026年に民法の改正法が施行されたことにより、離婚後の親権者について、単独親権だけでなく共同親権と定めることもできるようになり、選択肢が広がりました。この記事では、親権や共同親権について説明していきます。

親権とは

 共同親権の開設の前に、前提としてそもそも親権とは何かについて説明します。
親権の内容は、大きく分けて身上監護権財産管理権の2つがあるといわれています。

  1. 身上監護権
     民法では、身上監護権について、「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」との規定があります(民法第820条)。そして、親権者には、身上監護権の実現のために、以下の権利・義務があるとされています。

    ⑴ 居住指定権
     民法では、「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。」(同法第822条)との規定があり、子は、親権者が指定した場所に居住しなければなりません。

    ⑵ 職業許可権
    民法では、「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。」(同法第8231項)と規定されており、これは職業許可権といわれています。
    また、職業を許可された未成年者が営業に堪えることができない事由があるときは、親権者は、許可の取消しや制限をすることもできます(同法第8232項・第62項)。

  2. 財産管理権
     民法では、「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。」(民法第824条本文)と規定されています。この「代表」とは、包括的な代理権のことです。親権者は、未成年の子の財産について、広い権限があるのです。 この権利については、「親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない」(同法第827条)という規定があり、自分の財産に対するのと同一の注意を払えば足りるとされています。一方で、財産の管理が不適当であることによって子どもの利益が害された場合には、管理権が喪失することもあります(同法第835条)。

離婚後の共同親権について

 誰が離婚後の親権者となるかは、次のように決まります。
 まず、協議離婚の場合は、父母が、協議によって親権者を父母両方とする(つまり共同親権)か父母のうち一方とする(つまり単独親権)かを決めます(民法第8191項)。
 そして、父母の協議で決められない場合や裁判離婚の場合には、家庭裁判所が、子どもの利益の観点から、父母と子どもとの関係などの事情を考慮して、共同親権とするか父母のうち一方の単独親権とするか決めます(同法第8192項・5項)。
 ただし、家庭裁判所は、子に対する虐待のおそれがあるときや、DVのおそれなどの事情から父母両方が共同で親権を行うことが困難であるときには、単独親権としなければならないとされています(同法第8197項)。
 また、一度離婚後の親権者が定まっても、子どもや親族の請求があれば、家庭裁判所は、子どもの利益のために必要があると認めるとき、親権者を変更することができます。
 このように、改正法下でも、協議の結果や裁判所の判断によって共同親権とならない場合もあるのです。そして、裁判所が単独親権とするか共同親権とするかを判断する際は、子どもの利益という観点が重視されています。

おわりに

 親権についてお悩みがある方や離婚の手続きについてご不明な点がある方は、ご状況に合わせたアドバイスをさせていただきますので、どうぞお気軽に当事務所にご相談ください。

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