裁判外紛争解決手続(ADR)とは

 ADRとは、Alternative Dispute Resolutionの略で、「裁判外紛争解決手続」と訳し、紛争解決のための裁判以外の手続きのことで、行政機関や民間機関による和解、あっせん、仲裁及び民事調停・家事調停、訴訟上の和解などを言います。一般には、公正中立な第三者や専門家が、中立的な立場で紛争当事者の間に入り、当事者の意思に基づいた紛争の自律的解決をサポートする形で手続が進められます。

裁判とADRの違い

 裁判では事実認定や証拠に基づいて、裁判官が法律判断をして判決を下しますが、ADRは当事者間の話し合いによって、調停委員をはじめとした専門家の導きを得ながらお互いの合意を目指します。
裁判は、当事者の一方が訴えを起こし、厳格な様式の訴状を作成し提出して手続きが開始しますが、ADRの申立に厳格な制約はなく、当事者双方の合意により手続きが開始します。裁判は公開が原則ですが、ADRは非公開が原則です。そのため、プライバシーや企業秘密に係る紛争等については、特に安心して手続きを進めることができます。

 裁判では裁判官によって、厳格な事実認定と法の適用により判断され、判決が下されます。一方、ADRにおいては、法律のみならず当事者の感情や願望なども加味して判断されます。
 また、裁判となると、訴訟提起から裁判終了まで、何度も期日に出向き、数年かかる場合が多いですが、ADRでは13回、期日に出る程度で、申立てから数カ月で終了する場合が多いです。

  費用に関しては、裁判では申立費用のほか弁護士費用や鑑定費用が必要で、高額になるのに対し、ADRでは当事者による解決とされるため、基本的に鑑定費用がかかることはありません。申立費用約1万円・期日手数料15千円程度が必要で、無事合意が成立すると合意成立手数料が発生するものの、ADRにかかるコストは裁判より大幅に低くなります。

 

 

ADR

実施主体

裁判官に限定

裁判官に限定されず、調停委員をはじめ各分野の専門家

手続きの公開

公開

非公開

費用

裁判所の訴訟費用のほか弁護士費用や鑑定料
(一般に高額)

原則として弁護士費用や鑑定費用は不要。申立費用約1万円・期日手数料15千円程度
(一般にリーズナブル)

時間

訴えの提起から終了まで数年かかることが多い

申立てから数か月で終了する場合が多い

手続開始

片方の訴訟提起

当事者双方の同意

審理内容

当事者の主張する争点につき、厳格な事実認定、法の適用によって判断される。

法律のみならず当事者の感情や願望なども加味して判断される。

強制執行力

あり

なし

行政型ADRと民間型ADR

 紛争解決手続きの実施主体が裁判所ではないもの、すなわち行政機関や民間機関によって行われる紛争解決手続きをADRということもあります。

〈行政型ADR〉
行政型ADRには、以下のものがあります。
・国民生活センター
・消費生活センター
・筆界特定手続き(法務局)
・労働委員会(国・地方公共団体)
・建築工事紛争審査会
・公害等調整委員会
・原子力損害賠償紛争解決センター

 〈民間型ADR〉
 ここ数年、民間の組織・団体が紛争解決手続きを設置する動きが拡がっており、ADRという言葉を用いるときには、「民間団体が設置している紛争解決機関」を指していることも一般的になってきています。
民間型ADRには、以下のものがあります。

弁護士会ADRセンター(この他、行政書士会・司法書士会・土地家屋調査士会・社会保険労務士会などのいわゆる士業と呼ばれる団体は、それぞれの専門領域を対象とする紛争のADRを設置しています。)

 また、交通事故や金融商品をめぐる紛争などについても、業界団体などがADRを設置しています。紛争の内容により、どこにADRを申し立てるかを決めることになります。

まとめ

 ADRは、裁判手続と異なり、裁判所の関与なしに紛争当事者や利害関係人の意思に基づいた紛争の自律的解決を目指すものです。このような柔軟な解決の実現こそが、ADRの最大のメリットであり、本質でもあります。加えて、手続のわかりやすさ、迅速性、低廉性、効率性等のメリットもあります。
 紛争を抱えているけど、裁判まではしたくないと悩まれている方に、数ある解決手段の中から、当該紛争の実情に即した解決を得るためにもっとも適切な手段をご提案させていただきます。諦めずに一度、増井総合法律事務所にご相談ください。

PAGE TOP