遺産分割協議がスムーズに進めば、自分たちだけで協議を終わらせることは十分可能です。相続人全員が自らの相続分に納得した上で、遺産分割協議書の作成をし、全員が署名捺印を拒むこともなく終えられれば、問題になることはありません。しかし、遺産分割の際に不動産などがあると、現金とは違ってきっちり数字で相続分を分けられるわけではないため、協議がまとまらないケースが散見されます。また、遺産分割協議書も作成する際も、関係各所に提出できる体裁に整える必要があったり、その後のトラブル防止のために盛り込むべき条項があるなど、専門知識が問われる場面は多々あります。こういった問題に直面した場合は、弁護士に依頼するほうがトラブルのない解決を実現できます。
１．話し合いのストレスや不安から解放される
遺産分割協議は、相続人全員の参加が条件となっています。そのため、普段関わりのない遠方の方とも話し合いをしなければならない事態も想定されます。となると、相手の強引な主張を無理やり飲まされたり、遠慮から自身の主張が思うようにできなかったりと、自分にとって不利な条件で遺産分割協議が進んでしまう恐れがあります。それに、なにより話し合いにストレスを感じてしまうものです。弁護士に依頼するメリットは実務の面だけではなく、精神面の負担軽減もあります。弁護士であれば、話し合いはすべて本人の代わりに行うことができるのです。話し合いの結果を待っていれば良いので、ストレスを感じる機会が格段に減るというメリットがあります。親族とお金のことで揉めるのは想像以上にメンタルが削られることですが、弁護士に間に入ってもらうことで直接言い争うことを避けられ、心が乱されずに済みます。相続において弁護士は不安やストレスを和らげる心強いパートナーとなるでしょう。
２．代理人として交渉してくれる、手間と時間を省ける
話し合いがスムーズに進まない多くの原因は、当事者だけで話し合っているためです。
弁護士は交渉のプロとして依頼人に代わって他の相続人との遺産分割を進めてくれます。全員が自身の利害を気にしている状況下では、まともな話し合いができないのも無理はありません。しかし、弁護士が話し合いに介入することで、冷静な第三者目線で遺産分割協議を進められるようになるのです。
相続人が複数いる場合には、遺産分割の話し合いが難航したりそもそも話し合いができないという問題がよく起こりますが、弁護士がついていると、依頼者の利益を守るため、他の相続人を法的根拠を元に説得してくれます。
こうした第三者から専門的な意見がもたらされることで、当事者同士も冷静になれるというわけです。特に、弁護士と聞いただけでも身構えてしまう方がいるように、単に介入しただけでも、多くの方が好き勝手な意見は言えないと感じるようになります。相続の煩雑な手続きを弁護士に代行してもらうことで、時間と労力を省くことができます。
相続はケースによって差はありますが、やるべきことがたくさんあります。被相続人の死亡から相続までのそれぞれの段階で必要書類を集めて各所に提出しなければならず、期限も設定されていることがほとんどです。書類や申告に不備があると公的機関から調査が入るケースもあり、そうなるとさらに労力がかかるでしょう。弁護士が全ての手続きを代行できるわけではありませんが、これらの手続きを全て自分たちで行うのは負担が大きいので、適宜弁護士の力を借りて進めていくと負担も軽減されます。
３.的確なアドバイスをもらえ、遺産分割終了までサポートを受けられる
相続は権利関係も複雑で、一般の方では気づかないような権利や制度があったりします。一般の人は相続の専門知識がないため、他の相続人に言いくるめられてしまったり、活用できる制度を知らなかったりして、本来もらえるはずの財産を相続できないまま手続きが終わってしまうケースも少なくありません。こうしたことに見落としがあると、気づかないところで損をするケースがよくあるのです。
しかし、弁護士の力を借りればより法的な根拠を元に自分の取り分を正当に主張することができるので、損をすることなく遺産相続できます。また、強硬に交渉を進めるだけではなく、遺産分割後の親族同士の関係性なども考慮しながら、最も良いと考えられる落としどころを探っていくことを常に心掛けています。遺産分割協議だけが全てではありません。その後も続く親族関係に溝ができてしまうことがないように、最善の形で交渉をまとめることを常に心がけています。遺産分割協議だけが全てではありません。その後も続く親族関係に溝ができてしまうことがないように、最善の形で交渉をまとめることを常に心がけています。
４.遺産分割後のトラブルを予防できる
遺産分割協議は、交渉がまとまりさえすれば良いわけではありません。単なる口約束だと言われないように、また後で「言った、言わない」ということで紛争が蒸し返しになるおそれもあるため、協議した内容は遺産分割協議書という書面にまとめる必要があります。遺産分割協議書は、相続登記や名義変更などの手続きの際に不可欠な書類であり、必要事項はもれなく記載しなければなりません。
そして、もちろん、財産の詳細な内容や相続人の氏名・住所を記載する際には、誤字や脱字がないようにしなければなりません。実際、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の印鑑をもらった後に、書類のミスが発覚したために、再度遺産分割協議書を作成しなければならないケースは起こっています。そこで、重要な書類を専門家に依頼して作成してもらえば、相続手続きも問題なく進められるはずです。作成した遺産分割協議書は、合意した内容を相続人間で確認します。その際は、新たな遺産が見つかった場合はどうするのか？といった、不測の事態に対する条項も記載しておくべきです。弁護士であれば、こうした将来的なトラブルを防止した遺産分割協議書の作成が可能でしょう。