債務整理と自己破産の違い

 借金整理の方法を検討されるなら、まずは自己破産と債務整理の違いを理解することが大切です。制度の違いを理解すれば、自分に合った借金整理方法が選択できます。
今回の記事は、「債務整理と自己破産の違い」について、また、どの方法を選択すべきか、債務整理と自己破産のメリット・デメリットも併せて解説いたします。

 「債務整理」は、自己破産だけでなく、任意整理・個人再生を含めた手続きの総称のことであり、お金を借りた会社への減額手続きなどを意味します。
 一方「自己破産」は債務整理の手続きの1つで、現在返済に困っている借金をゼロにすることを言います。債務整理の手続きによっては裁判所を介して行う必要があるので、提出書類や注意事項をすべて守らなくてはいけません。

債務整理に共通するメリットとデメリット

債務整理の方法に共通するメリットとして大きいのは以下の二点です。

① 借金の返済額が減る/返済が免除される
全ての債務整理に共通するものとして、借金の返済額が減る(返済が免除される)効果があります。
自己破産の場合、未納の税金などの一部の債務をのぞいて、借金自体が免除される借金を返済しなくてもよい強力な効果があります。つまり、借金を返済しなくてもよいということです。 

② 債権者からの請求や督促・取り立てがストップする
弁護士に債務整理を依頼すると、受任通知という書面をカード会社や貸金業者などの債権者に発送します。
受任通知が送られてきた場合、カード会社や貸金業者などの債権者は借金の取り立てを止めなければならないことが、法律で規定されているため、債権者からの取り立てを一時的に(手続きが終了するまで)止めることができるのです。

 債務整理を依頼して取り立てを止めることで、精神的にも余裕がでてきて、借金の整理に前向きに取り組みやすくなります。ただでさえ借金を返済できずに苦しんでいるところに執拗な取り立てによってさらに心身を消耗するのは苦しいものです。 

 一方、デメリットは、債務整理をした事実が信用情報機関に登録されることです。
信用情報機関に登録されることで、一定期間はクレジットカードやカードローンの審査に通らなくなったり、家や自動車のローンが組めなくなったりします。

自己破産のメリットとデメリット

 自己破産のメリットは、税金などの一部の債務をのぞいて、債務自体が免責されるので、借金の返済に苦しまずに過ごせます。一方で、デメリットとして挙げられるのは、手続きが難しく、時間と費用がかかります。
 また、マイホームや車など一定以上の価値のある財産は手放さなくてはならず、信用情報機関へ事故記録として残るため、約5年間はクレジットカードやカードローンなどの利用ができません。

 加えて、国が毎日発行する官報に名前と住所が記載されます。但し、一般の方が官報をみる機会はほぼ無いため、会社の人や親戚・友人に自己破産したことが知られる可能性はかなり低いと思います。
破産手続を行うことで、勤務先を退職せざるを得なくなる可能性は低いですが、破産手続開始決定が出ると、免責許可決定が確定するまでの間、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士等の士業の他、警備業者、警備員などが資格制限を受けますので、この点については注意が必要です。

まとめ

 自己破産は、債務全体の免責を受ける手続き、つまり、借金をゼロにする手続きです。明確で強力なメリットがある分、免責許可を判断するための調査や、財産処分に関して、厳格なルールが定められています。一方で、自己破産をすることによって、毎月の返済の苦しさから解放され、破産法第1条に定める「経済生活の再生の機会の確保を図ること」(フレッシュスタート)につながります。ただ、債務整理の中でも自己破産の手続きは個人だけで行うのは難しく、裁判所が要求に応じられない場合には、破産手続きが認められない可能性も考えられるところです。 
 
 また、自己破産をしなくても別の方法で解決できることもあり得ます。当事務所は、あなたに合った方法で債務整理をお手伝いしますので、お困りの際には、まずは当事務所の弁護士にご相談下さい。

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