特定少年事件・年齢切迫事件における注意点

1 特定少年

 今回の記事では、特定少年事件の取扱いにおける注意すべき点について解説いたします。

 令和3521日に少年法が改正され、令和441日から、改正された少年法が施行されることとなりました。
 この改正少年法では、「特定少年」という概念が導入されました。特定少年とは、犯罪行為をした18歳と19歳の若者のことです。特定少年の場合、17歳以下の少年とは取り扱いが異なりますが、成人と同様の刑事手続は原則として適用されません。18歳・19歳の人は、民法上は成人となりますが、刑事事件については引き続き少年法が適用されるのです。
 
 特定少年で取り扱いが異なる主な点として、特に影響が大きいと考えられる取扱いの違いについては以下の点が挙げられます。

・原則逆送事件の対象範囲が拡大したこと
 特定少年については、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」だけでなく、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件」に関しても、原則として家庭裁判所から検察官に送致することとなりました。具体的には、強制性交等罪や強盗罪、現住建造物等放火罪などが新たに対象となりました。

・ぐ犯事件の対象から除外されたこと
 これまで18歳・19歳であっても、ぐ犯事件の対象となっていましたが、民法改正により、18歳以上は成人として扱われることから、特定少年に関してはぐ犯事件の対象から除外されました。

・保護処分の変更
 特定少年については、保護処分が、①6カ月の保護観察、②2年間の保護観察、少年院送致の3種類となりました。そのため、これまで実務上一般的だった1年間を前提とした保護観察は、特定少年に関しては審判で言い渡せなくなりました。

・推知報道禁止の一部解除
 これまで、少年事件においては、少年がどこの誰だか分かるような推知報道は禁止されていましたが、特定少年に関しては、少年審判で検察官に逆送され、公判請求されることとなった場合には、推知報道の禁止が解除され、少年の推知報道ができるようになりました。

・刑事事件の特例の制限
 少年事件では、刑事事件と異なる取扱いを設ける特例が定められていますが、特定少年に関しては、この特例が原則として適用されないこととなりました。
例えば、特定少年であれば、最長30年の懲役刑を科すこともできるようになりました。

2 年齢切迫少年

 年齢切迫事件とは
 年齢切迫事件とは、家庭裁判所送致時に少年が20歳の誕生日に迫っている事件をいいます。例えば、大学2年生の19歳の少年(数カ月後に20歳の誕生日を迎える)が警察の捜査を受けている場合が挙げられます。
 ここで、少年が審判前に20歳に達すれば、成人の刑事手続として扱われることになり、家庭裁判所は年齢超過として事件を検察官に送致しなければなりません。
 少年事件では、検察官は、全権を家庭裁判所に送致しなければならないとされていますが、家庭裁判所の審判までに本人が既に少年でないことが判明したとき(20歳に達しているとき)は、検察官に送致(逆送)決定をすることになります。
 これは、少年事件は20歳未満を対象とした手続であるため、少年が20歳に達すると審判条件が欠けるためです。検察官送致されたときの一番のデメリットは、「前科がつく」可能性があることです。成人事件の場合、罰金処分がありますが、罰金処分であっても罰金の前科がつきます。また、執行猶予判決を獲得したとしても懲役前科がつくことになります。

 前科を回避するには
 20歳になっているかどうかの年齢の基準は、審判が行われる時です。そのため、少年が20歳になる前に審判期日が指定されているように活動をしていくことが挙げられます。
 捜査段階であれば、検察官に対し、捜査を早期に終了してもらい、早急に家庭裁判所に送致するよう求めたり、家庭裁判所に事件が係属した場合には、早急に審判を行うよう裁判所に申入れを行うことが挙げられます。
 少年事件の審判で、保護観察等の処分がなされても「前科がつきません」。
 そのため、年齢切迫の少年事件においては、少年が20歳の誕生日を迎える前に審判を入れてもらうよう活動することが重要となります。

3 今後の展望について

 改正少年法が施行されることにより、特定少年に関する処分はこれまでより重くなることが懸念されます。世間一般で騒がれるほど、少年事件は凶悪化していないのですが、世論の影響もあり、家庭裁判所も特定少年に関しては厳しい目で見てくる可能性は十分あります。

 特定少年の事件では、他の少年に比べ、少年院送致や検察官逆送などの重い処分が下される可能性が上がっているので、もし事件化された場合には、早期に弁護士を付けるなどの対応が重要になってくるでしょう。また、年齢切迫少年の場合は、捜査機関や家庭裁判所に速やかな家裁送致や審判の期日の設定を求めるなど、早急な対応が必要です。

 このように、少年事件は、審判期日までの時間が限られており、早期の対応が求められますので、お子様が事件を起こしお困りであれば、できるだけ早期に弊所の弁護士にご相談ください。

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