相続放棄に失敗すると、借金などの負債を相続してしまって大変な不利益が発生します。簡単かつ確実に相続放棄を成功させるには、弁護士のサポートが必要といえるでしょう。今回の記事では、相続放棄の手続きを弁護士に依頼するメリットについて説明いたします。
期限内に手続きを迅速かつ正確に進められる
家庭裁判所に相続放棄の申述をするときには、亡くなった人の戸籍謄本、住民票、相続放棄したい人の戸籍謄本などの必要書類を過不足なく集めて正確に「相続放棄の申述書」を作成し、提出する必要があります。
自分では、すべての書類を正確に集め、適切な対応をするのは難しいかもしれませんが、弁護士に任せれば書類集めや家庭裁判所に対する提出などの手間もかからないため、この点は大きなメリットとなるでしょう。
債権者への対応も委ねられる
相続財産には、金銭や不動産などのプラスの財産だけではなく、いわゆる借金のような負債も含まれていることが考えられます。
また、被相続人が貸金業者をはじめとする金融機関などの債権者から借金をしていると、債権者から相続人のもとへ手紙や電話などで借金を返済するように求める旨の連絡が入ることがあります。
相続人からすれば、被相続人がどのような内容の負債を有しているかわからないことが多く、かつ一般的に「借金取り=怖い」というイメージもあるため、とても不安に感じることもあるかと思います。
もし、相続放棄の手続きが完了するまでの間に、貸金業者をはじめとする債権者(お金を借りていた借入先)から支払いの督促が来た場合、ご自身で貸金業者などに連絡することは大きな抵抗を感じるかと思います。しかし、先方の連絡を完全に無視をしてしまうと、裁判を起こされたり、支払督促の申立てをされたりするなどのリスクがあります。そこで、相続放棄の代理人弁護士を通じて、貸金業者等へ一報してもらうという方法が考えられます。貸金業者は、相続人が相続放棄をする可能性が高いと判断すれば、通常、余分な労力を割いてまで取立てを行うことはありません。特に代理人弁護士から連絡が入った場合、貸金業者からみると、すでに相続放棄の手続きに着手している(少なくとも準備に入っている)と考えられますので、通常請求はストップしてくれるはずです。
また、弁護士が交渉すれば、債権者側も無理な主張はできません。相続放棄が完了するまで待つしかなくなり、相続放棄が完了すれば支払義務がないことが確定するので堂々と支払いを断ることができます。
熟慮期間を超過しても相続放棄できる可能性がある
相続放棄は「相続開始を知ってから3ヶ月以内」に行う必要があり、期限を過ぎると受理されません。
ただし、3ヶ月の熟慮期間を超過しても、家庭裁判所に期間の伸長を申し立て、裁判所が期間伸長を認めれば、相続放棄は可能です。具体的には、家庭裁判所に対して、熟慮期間内に相続財産の状況を調査しても相続放棄の要否について判断できないことを理由に相続放棄期間の伸長を申し立て、家庭裁判所がこれを認めれば、必要な期間分、この熟慮期間が伸長されます。
この場合は、伸長された期間が経過するまで相続放棄をすることが可能です。
そのため、3ヶ月の熟慮期間が過ぎてしまったからといって、必ずしも諦める必要はありません。
熟慮期間の伸長には「相当の理由」が必要になりますが、被相続人と極めて疎遠であり、ほかの相続人の協力も得られず、相続財産がプラスかマイナスかを把握することがそもそも困難というケースでは、熟慮期間の伸長が認められる可能性は相当程度あろうかと思われます。「相当の理由」にあたるかどうかは事案に応じて判断されるため、具体的にこの理由があれば良くて、この理由であればダメというものではないではありません。
まとめ
相続放棄の手続きはご自身でおこなうこともできますが、相続に関する知識がない場合、書類の不備や提出漏れなどが発生して申述が認められないおそれがあります。また、相続放棄に失敗すると、借金などの負債を相続してしまって大きな不利益が発生する可能性もあります。
加えて、相続放棄の期限が過ぎていても、熟慮期間は「自分が相続人となること」や、「借金があったことを知った」ときからカウントされるので、そのときから3ヶ月以内に手続きをすれば相続放棄が認められる可能性はありますが、その手続や判断は簡単ではなく、専門的な法的知識が必要となります。そのため、自分では相続放棄を諦めざるを得ないケースでも、弁護士に依頼すると相続放棄の申述が認められる可能性が一定程度あるのは、大きなメリットといえるでしょう。
弁護士であれば、相続放棄に関する手続きを一任できるので、確実に手続きを済ませたいと思われましたら、増井総合法律事務所の弁護士に、お早めにご相談下さい。